昼すぎに実家に帰宅。

遅めの昼食を食べ、ほとんど寝てない昨夜の疲れを回復すべく、しばし睡眠。
6時からNHKで「篤姫」のトークショーやるっていうので、それにあわせて起きて、居間に移動。

すると母が、市の情報誌片手に「2階のパソコンでインターネットできるの?」とか、なんかとぼけたことを聞いてくる。
「できるべさ」と私。
「チャンプがいないの」
「はぁ?」

チャンプというのは実家で飼ってる犬の名前。
私が小2のころ父が知り合いからもらってきた子犬。
17年経った今では、目の前に私がいることすら気づかないくらいの老犬。

私「いつからいないの?」
母「昨日エサやったときはいたんだけど、今見たらいないのよ」
私「お父さんは?」
そのとき父は帰宅していて私と入れ違いに2階に上がっていた。
母「お父さんにも言ったけど、どっかいっちゃった」
なんなんだ、この老夫婦は・・・!!

そのときすでに「篤姫」の特番が始まっていて、TVには宮崎あおいちゃんと樋口さんが映っていた。
しばらく立ち尽くした私は思い出す。
5、6年前にもこんなことあったよな!



5、6年前のある日。やはりその日も冬だった。
彼は小屋から逃げ出し、しばらく近所を徘徊した後、住民の通報で駆けつけたおまわりさんに連れて行かれた。
チャンプは柴犬と何かのミックス。名前に違わず、大きい体をしている。
人を見ると最大限の力でアタックする。
子供がそれ食らったら絶対泣く。大人だって怖い。
で、いったん交番に連れて行かれ、そこから動物保護センターに連れて行かれた。
うちの家族はそのころ近所を探しまわり、ようやく、「交番に聞いてみたら?」となっていた。
当然「一足遅かったですね」と言われ、翌日私の仕事がたまたま休みだったので、泉区の実家から若林区のセンターまで車で受け取りに行った。
気づくのが何日か遅くなっていたら、彼はガス室送りになっていたというのに、今回またこの脱走。
忘れたころにやってきた再びの大事件!



私「前は交番に電話かけたよね」
母「ああ、そうだったわね」
母がかけたが電話つながらないらしい。
仕方ないから、とりあえず動物管理センターのサイト見てみようと、2階に戻る。
ああ、篤姫・・・。

2階では父がのんきにPCでスパイダソリティアやっていた・・・。
半ギレの私「使うからどいて?」
メチャクチャ寒いんだぞ今日は。
心配じゃないのか!

結局、センターは土日やってないらしくサイトでは解決には結びつかなかった。
電話かければ職員の人が出てくれたかもしれないが、今日いなくなった犬が半日そこらでセンターに送られるとは思えないし―――速達郵便じゃあるまいし、なんか両親の慌ててるんだかなんだかよく分からない様子を見てたら探す気失せた。
それに今日は本当に寒くて、正直家から出たくなかった。
気づけば母は夕飯のしたくに戻っていたし・・・。



今晩の夕飯は父が仕事先で牡蠣を大量にもらってきたらしく、牡蠣鍋にカキフライという牡蠣に特化した内容だった。
「篤姫」の総集編を見ながら父が言ってはならない一言。
「猫は死ぬときに人目のつかないところに行って死ぬんだよな・・・」
そりゃ猫の話だろ。
ひもがほどけたから小屋から逃げ出しただけの話だろ。
なんかもう父に任せてたら、本当にチャンプは死ぬんじゃないかと一瞬思った。

夕飯を平らげたところで、母にもう一度交番に電話をかけてもらう。
何故か渋る母。
「さっきかけたらつながらないのよ。ピーリルーって」
私「それはFAXでしょ」
なんだかんだで父も母もチャンプも老いているのだ。
私の心はそれが悲しかったりして。



幸いなことに、電話はつながった。
そしてやはりおまわりさんが捕まえてくれていたらしい。
行き倒れという最悪の事態は免れた。
ありがとう、おまわりさん。

交番においておけない我が家のチャンプはいったん、泉中央署に送られたらしい。
泉中央署に確認をとると、私の町で捕まえた迷い犬が2匹いるらしい。
ここでようやく父が動いた!
母と2人ですぐに30分離れた警察署へ引き取りに行ってくれたのだ。
「なんだったらもう1匹も、もらってこよう」などと、冗談を言いながら。
少しは飼い主を待つ犬の気持ちになれ。



こうして、老犬チャンプは6時前に行方不明になり、9時前には再び我が家に帰ってきた。
約3時間のスピード解決。
だって、2回目だもんね。こっちも慣れてるよ。まったく・・・。
さすがに反省してるのか、単に疲れているのか、帰ってきた彼はとてもおとなしかった。

私は両親が連れ戻しに行ってる間、コタツに入ってバッチリ「篤姫」を見た。
なんだかんだいって、口だけ出して何もしなかった私・・・。
まあ、でもつらい年末にならなくて本当に良かった。
おまわりさんや通報してくれた人には本当に感謝。

この話がいつか笑い話になりますように。